展示告知] 

3/6(水)〜3/12(火)

『 現在を映し出すアート展』

三越名古屋店

 

3/13(水)〜3/19(火)

『 熊谷 曜志・本多 翔・ツジモトコウキ 三人展』

新宿伊勢丹本店

 

3/18(月)〜3/24(日)

『HafH/ツジモトコウキ・辻本健輝』

 

ライブペイント公開制作

長崎 HafH

 

6/21(金)〜7/3(水)

『 ツジモトコウキ日本画展』

東京 靖山画廊

 

 


現代日本画の可能性を独創的に押し広げる若手作家・ツジモトコウキ。煌びやかな極彩色で、『鯨』『象』に代表される縁起物や神話的象徴性の強い動物たちを描いています

しっかりとした輪郭線、モチーフはデフォルメされどこか生々しい肉感を伴い、あたかも我々の眼前に迫ってくるような存在感を放っています。

 

 ―“日本画”とはいったい何でしょうか?

1882年(明治15年)のフェノロサの講演を訳した「美術新説」の中で、西洋画とわが国で描かれてきたものを対比しJapanese painting= “日本画”という概念が発明されました。

使用される画材によってか、はたまた芸術の受容の年代によってなのか、様式や技法で区別するべきか・・。複雑に入り組んだ“日本画”の定義は現在でも活発な議論の対象となっています。

 日本絵画史においては、水墨画や文人画あるいは狩野派に代表される中国画に基礎をおいた「唐絵」の流派と、わが国の自然や生活を情緒豊かに表現する「大和絵」の二大潮流が存在してきました。

 とくに俵屋宗達・尾形光琳を中心とする「琳派」は大和絵を母体とし、日本独自の情緒と描き手の個性豊かなデザイン感覚が極限まで高められた流派と評されています。

 

 ツジモトコウキの作品においては、紅白や金銀、鉱石由来の顔料といった“本物”の画材へのこだわり、装飾的・平面的かつデザイン性の高い画面構成が見受けられ、琳派の画家たちにつながる美意識が感じられます。しかし一方で、ツジモトコウキの作品が我々に与える印象は、圧倒的に“いまの感性”でしょう。

作者自身が“いま、ここにある”同時代のポップカルチャーから得た感性や着想と、古典に対する真摯な姿勢の融合。

正統でありながら“いま”の気分を表現している、それがツジモトコウキ作品の魅力といえるのではないでしょうか。

 

 “象は大地を踏み鳴らし、山河を造りながら人々を福徳に導く”、“誕生と死をあらわす紅白の鯨が海から太陽を引き上げる”・・・

ツジモトコウキのモチーフは、それぞれが世界の縁起を担う存在であり、同時に平安を願う祈りの象徴です。

古くから動物を神聖とする思考は海を超え、日本のみならず世界各地に同じように伝承されてきました。これは人間に内在する普遍的な感情・本質的な世界の見方を示唆するものといえるでしょう。

ツジモトコウキの作品は、「祈り」や「願い」が我々の文化と感情に分かち難く備わっていることを思い出させてくれます。

 

 日本画特有の古典的な芸術性を継承しながら、独自の動物表現によって“ポップ=同時代性”を追及するツジモトコウキの作品をどうぞお楽しみください。


文責:井戸真由美(耕心館副館長)